配管用炭素鋼鋼管(SGP)白管の特徴・用途・施工方法などを解説
はじめに
住宅や商業施設、工場配管などさまざまな現場で用いられる「SGP白管」(JIS G3452 配管用炭素鋼鋼管・亜鉛めっき鋼管)。
高い耐食性と強度を備え、給排水から空調配管まで幅広い用途に対応します。
本稿では、SGP白管の基本情報から、現場での施工ポイントまでを網羅的にご紹介します。
1. SGP白管とは?
- 規格:JIS G3452(配管用炭素鋼鋼管)のめっき鋼管
- 呼び径:15A~200Aなど多彩(現場要件に応じて選択)
- 定尺長さ:
- 呼び径15~100A:4.0m/本
- 呼び径125A以上:5.5m/本(メーカーによっては6.0mもあり)
- 表面仕上げ:亜鉛めっき(白管)による防錆処理済み
- ねじ切り:片ネジ、両ネジ、ネジなしがある
- フランジ接続や現場溶接時はネジなしを選定
- ねじ込み接続時は片ネジか両ネジを選定
2. 主な特徴
- 高い耐食性
- めっき層(亜鉛)が鋼管を覆い、湿気や化学薬品から腐食をガード
- 優れた機械的強度
- 炭素鋼素材の強度を活かし、加圧流体配管や加熱配管にも使用可能
- 標準化・入手性
- JIS規格品として流通量が多く、コストバランスも良好
- 溶接・ねじ継手対応
- 溶接施工のほか、ねじ込み継手やフランジ継手でも接合可能
3. 主な用途
- 給水・給湯配管
一般住宅からビルの給水・給湯系統まで幅広く使用 - 排水・雨水配管
軽い薬品や汚水の排水管としても適用可 - 空調・冷暖房配管
冷凍機の冷媒配管やファンコイルユニットの給水系に採用例あり - 工業プラント設備
蒸気・エアー配管、一般工業用流体配管など耐圧系統にも対応
4. 施工方法・ポイント
4.1 下準備
- 作業場所:換気良好な屋外または屋内作業場
- 安全対策:保護メガネ、耐切創手袋、マスク(粉じん対策)を着用
- 配管ルート確認:現場図面と現況を突合し、ルート・支持間隔を決定
4.2 切断・加工
- 小口径(~50A):パイプカッターでクリーンに切断
- 中口径(65A~100A):ハックソー(金属刃)またはバンドソー
- 大口径(100A以上):ディスクグラインダーやセーバーソー、ポータブルバンドソー
- 面取り・バリ取り:鉄工用ヤスリやカッターナイフで切断面を仕上げ、防漏・安全性を確保
4.3 接合方法
- ねじ込み継手
- テフロンテープまたは専用シール材で漏れ防止
- ねじ山を傷めないよう、工具は平行に保持
- 高圧・高温流体にはより強固な接続方法であるフランジ継手か溶接継手を推奨
- 溶接継手
- 現場溶接:アーク溶接(被覆アーク)またはティグ溶接
- 溶接前後のめっき層はグラインダーで除去し、溶着性を確保
- フランジ継手
- ガスケット挟み込みにより高圧配管にも対応
- ボルトは均等に締め付け、面ずれ・漏れを防止
4.4 防錆・品質確認
- 切断面の再めっき:亜鉛スプレーを塗布し、切断露出面を保護
- リークテスト:空気または水による加圧試験で漏れをチェック
- 支持金具:支持間隔は呼び径や内容物温度に応じて設計(例:一般給水は3~4m間隔)
5. メリット・デメリット
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 耐食性 | 高い(亜鉛めっき層が長期保護) | 切断面はめっき層が失われやすい |
| 強度 | 炭素鋼の強度を活かした耐圧性 | 鋳鉄管などに比べ重い |
| コスト | 標準化品で比較的廉価 | ステンレス鋼管よりコスト優位だが、軽量化は難しい |
| 施工性 | 多彩な継手・工法に対応可能 | めっき層の損傷に注意が必要 |
6. 選定時のポイント
- 流体の種類・温度圧力
- 配管ルートの取り回し・支持間隔
- 現場溶接の可否・工期
- コスト・納期
用途や現場条件に合わせ、白管・黒管(素地鋼管)を使い分けることで、コストと耐久性のバランスを最適化できます。
おわりに
SGP白管は、めっき鋼管ならではの耐食性と機械的強度を両立し、多様な配管用途に活躍します。適切な施工手順とアフターケア(防錆処理・リーク試験)を守ることで、現場でのトラブルを最小限に抑えられます。ぜひ本稿を参考に、設計から施工、メンテナンスまでの流れを整理し、安全で長寿命な配管システムを構築してください。

